200604



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小学部中学年の自閉症児が塀に上らないでプール遊びができることを支援する
概 要
家庭でプール遊びをする時に、近所の塀に上がらないで水遊びができるよう学校と家庭が連携して取り組むことにした。「塀に上がらないでプール遊びができる」を目標とし、ABC分析におけるAを考えていくことを支援した。環境面の整備として「お風呂場で水遊びをする」「上り台を設置する。」「滑り台付きボールプールで遊べるようにする」「外でのプール遊びはお父さんが参加して行う」の4点を整備して進めていくことにした。塀に上がらないで外でプール遊びができた時は、褒めたり好子が獲得できるよう支援した。

対象児のプロフィール
小4男子 自閉症 

諸検査結果
PEP-R:1歳8ヶ月
S-M社会生活能力検査:1歳9ヶ月

障害の特性
多動で行動が素早い。高いところに上ったり、外の遊具(滑り台など)で遊んだり、水遊びをすることが好きである。要求はクレーンやカードを使って、伝えることができる。写真カードのスケジュールを見て活動することができる。

指導者
EH

短期目標
家庭の庭でプール遊びをする時、近所の塀の上に上がらないで水遊びができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
・お風呂場で水遊びができる。
・上り台や滑り台付きボールプールを使って、部屋で遊ぶことができる。
・父と庭でプール遊びをする時、塀に上がらないで水遊びができる。

選んだ理由
家庭の庭でプール遊びをする時、途中で近所の家に走っていき塀に上がる。注意するが塀に上がることをやめない。近所の家に迷惑をかけることになるので、減らしていきたい。           

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
家の中庭を使ってプール遊びをする時、後半にプールから走り出て近所の塀に上がる。母親が名前を呼ぶと振り返るが、帰らずに塀のぼりを続ける。注意して手を引いて連れて帰る。水遊びを中止する。

指導場面
午前10時から12時、午後1時から4時の庭でプールをする場面                    家のお風呂場で水遊びをする場面
部屋で上り台や滑り台付ボールプールで遊ぶ場面

指導手続
○外でのプール遊びは父親の仕事が休みで、父親が母親と一緒にプール遊びを見守ってくれる時に行う。
1、「プールよ」と声かけをする。
2、着替えてトイレを済ませる。
3、母親と一緒に外に出る。
4、プールに入って水遊びをする。
○お風呂場での水遊びは父親が仕事で不在の時や、天気の悪い時に行う。外での水遊びと同様の手順で行い、四角いタライを使用する。
○上り台については常時設置しておいて、要求がある時に上るようにする。
○滑り台付きボールプールはボックスに入れておき、外でのプールができない時で要求がある時に使うようにする。


教材教具など
・簡易プール
・タライ
・滑り台付きボールプール
・上り台

達成基準
庭のプール遊びで、3回連続して近所の塀に上がらないで水遊びができたら、目標達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
1、父と庭でプール遊びをする場面         得点3:塀に上がらないで水遊びができる。     得点2:塀に1回上がる。             得点1:塀に2回上がる。             得点0:塀に3回以上登る。            2、風呂場で水遊びをする場面           得点3:風呂場から出ないで水遊びができる。    得点2:風呂場から1回出る。           得点1:風呂場から2回出る。           得点0:風呂場から3回以上出る。    

指導期間
8月8日〜8月22日

結果
×カードによる禁止や、プールの写真カードで塀の登りを中止することはできなかった。そのため水遊びを行う環境を変えていくことに視点を当てて取り組んだ。一つは庭での水遊びは父と一緒に行うことにし、父が常に見ている環境を設定した。その結果、塀に上がることなく庭でプール遊びを続けることができた。二つ目は父が不在の時に母と風呂場で水遊びをすることとした。家の中で行うため塀に上がることはできなかった。さらに風呂場から出ることなく水遊びを楽しむことができた。三つ
目として部屋のプレイルームにボールプール付滑り台や登り台を置くことにした。塀登りの代用として登り台を用意してみたが、頻繁に登って落ち着くことができた。ボールプール付滑り台についてもプレイルームでの遊びの時に要求して使用することができ、楽しむことができた。外での水遊びの回数が少なくなり、近所の家の塀登りができなくなったが、風呂場で水遊びをすることや登り台やボールプール付滑り台で遊ぶことで、以前より落ち着いて室内で遊ぶことができるようになった。

考察
近所の家の塀に上がることは両親にとっては問題行動になるが、無くしてしまうことは不可能である。高いところに上がることができる環境を安全面に注意して設定し、場所や時間を決めて利用できるようにすることが必要である。また、高いところに上がる遊び以外に楽しむことのできる遊びを考え、落ち着いて遊ぶことができるようにしていかなければならないと考える。

ベースライン
A:先行条件 B:行動 C:結果
母と庭のプールで水遊びをしている時 近所の家の塀に上がる.
「Y君」と声かけされ、手を引いて連れ戻される。水遊びを中止する。

母と庭で水遊び
A:先行条件 B:行動 C:結果
母と庭のプールで水遊びをしている時 近所の家の塀に上がる。 ×の絵カードとプールの写真カードを見せられる。振り返るが、塀のぼりを続けて一定のコースを回ってから帰ってくる。水遊びを中止する。

父と庭で水遊び
A:先行条件 B:行動 C:結果
父と庭のプールで水遊びをしている時 近所の塀に上がらず、水遊びを続ける。 褒められる。水遊びを続ける。

風呂場で水遊び
A:先行条件 B:行動 C:結果
母と風呂場で水遊びをしている時 風呂場から出ないで、水遊びを続ける。 褒められる。水遊びを続ける。


第一系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 父と庭で水遊び   Intervention2: 風呂場で水遊び   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 父と庭で水遊び   Intervention2: 風呂場で水遊び   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/08/24/14:30:20  No.277
記入者 T  E-Mail

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