200622



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シンボルカードで要求を伝えるための支援
概 要
 Kさんは学校生活の中で、自分で見てわかるもののシンボルカードや好きなお店の写真カードをまとめて入れたブックを所持している。好きなお店や時計等に対する興味は強く、前日に家族と行ったお店の写真カードや大好きな踏み切りのシンボルカードを教員に見せるなど、特定の好きな物を伝えることに関しては、写真・シンボルカードの使用ができている。しかし、要求を伝える手段としては、直接的動作や数種類の発声、具体物への指さし、サイン、教員に対しては「センセ」ということばかけはあるものの、シンボルカードの自発的な使用はみられず、教員がその場の状況からKさんの要求をくみとっている。
 そこで、誰にとってもわかりやすい要求を出せるように、教員にシンボルカードを渡して要求するスキルを獲得するための実践を進めることにした。

対象児のプロフィール
小学部6年生 Kさん ソトス症候群


諸検査結果
新版 K式発達検査(平成18年12月実施)姿勢ー運動 1:7、認知ー適応 2:1,言語ー社会 1:9、全領域1:9、 S−M社会生活能力検査2歳5ヶ月(平成19年1月実施)

障害の特性
知的障害からくる全般的な発達障害がある。発語は、特定の単語程度。他者からの簡単なことばかけは、理解できている。

指導者
担任2人。

長期目標
写真、シンボルカードを使って、自分の要求や伝えたいことを伝える。

短期目標
課題中、必要な用具(のり、はさみ)のシンボルカードを教員に手渡して要求を伝えることができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
<指導目標>課題中、必要なのりのシンボルカードを教員に手渡して要求を伝えることができる。      <目標設定の理由>これまでの対応として教員は、Kさんが教員に要求を伝える必要を感じさせないように先周りして準備をしたところがあった。そこで、Kさんに自ら要求する方法を体得してもらい主体的に生活する場面を獲得してほしいと考えて本指導目標を設定した。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
 課題中、のりが見つからず、ボックスからのりのシンボルカードを見つけて、数分間、手で揉んで感覚遊びをしていた。その後、ボックスの引き出しを上から下まで開けてのりをさがす様子がみられた。その後席を立ち、教室前の教員机まで行き、普段のりを置いている場所をさがした。それでものりが見つからず立ちつくしているところへ、教員がポケットからのりを出して渡して課題をした。

指導場面
課題学習
のりが必要な課題に取りかかるとき、のりのシンボルカードを傍にいる教員に手渡してのりを要求することができる。

指導手続
<ベースライン>課題ボックスの中からのりを抜き、課題ボックスの上にのりのシンボルカードを置いておく。
<指導開始日のみ>Kさんが課題ボックスからマークの切り抜き、台紙を机に出し、のりをさがしはじめたときに、教員2がKさんの後ろから、シンボルカードをKさんの左手につかませて、教員1に手渡す。教員1は、即座に「はい、のり。」と言ってKさんにのりをわたす。
<指導開始2日目以降>Kさんがシンボルカードを手渡せた場合は、賞賛してのりをわたす。Kさんが課題ボックスからマークの切り抜き、台紙を取り出し机上に置いてから10秒待ってもシンボルカードを渡せない場合は教員1がシンボルカードを指さす。5秒待っても渡せない場合は、ちょうだいの動作で知らせる。さらに5秒待っても教員にカードをわたせないときは、教員2が身体的ガイダンスをおこなう。

教材教具など
課題ボックス、シンボルカード、のり

達成基準
プロンプトなしにシンボルカードを教員に手わたすことが3日間続いたら達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
プロンプトなし=4点 シンボルカードの指さし=3点ちょうだいの動作=2点 指さし+ちょうだいの動作=
1点 身体的ガイダンス=0点

指導期間
平成18年11月2日〜12月12日

結果
 指導3日目までは、Kさんはシンボルカードを手に持ったままでいたり、一度手に持ってもすぐに机上に置いたりした後で、教員の指さし+ちょうだいの動作で手渡せた。指導4日目で教員の指さしのみで手渡せた。指導5日目で教員の指さしでカードを手に持ったが机上に置いて、教員のズボンのポケットへ手を伸ばした後、指さし+ちょうだいの動作で手渡せた。指導7日目で初めて正反応が出て2日連続したが、達成できなかった。指導12日目から3日連続正反応が出て達成できた。

考察
 達成までに日数を要した理由としては、課題学習が、火・水・金の週3回の実施であり毎日でなかったことや、行事等で間隔が開いたことなどが考えられた。今回の実践は、Kさんが要求をわかりやすく伝えられることを目的にして取り組んだ。日数はかかったが、目標を達成することができ、カードを使用しての要求スキルの獲得をはかることができた。今後は、Kさんにとって要求を伝えることができる場面を増やすことが課題である。

指導場面
A:先行条件 B:行動 C:結果
課題ボックス内にのりがなくて、課題ボックス上にのりのシンボルカードがある時 シンボルカードを教員に渡す。 のりがもらえる。
好きな課題ができる(↑)


第一系列のタイトル: プロンプト数
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導方法1:シンボルカードを手渡してのりを要求する指導  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1   Intervention2: 指導手続き2   Intervention3: 指導手続き3   Intervention4: 指導手続き4  
記入日時 2006/11/01/18:04:51  No.305
記入者 みかん  E-Mail

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