200630



[TOP]  [新規データ登録]  [検索]  [修正・削除・データ処理


小学部中学年の自閉症児に、手洗い後、タオルで手の甲を拭くことを教える
概 要
身体的介助の多い本児にとって、小さなことでも1人でできる活動を増やすことは、自立につながると思われる。また、「タオルで手を拭く」という行為は毎日行われる活動であり、場所がかわっても般化しやすい内容である。夏休みの家庭での実践から、「手の甲を拭く指導をして欲しい」という保護者からの要望があり、本事例で取り組むこととした。

対象児のプロフィール
I児 小4男児 自閉症

諸検査結果
KIDS 0歳8ヶ月(H16,5,6)
PEPーR 1歳1ヶ月(H15,3,17)

障害の特性
トランジッションでは具体物提示だが、確実ではない。他動気味で集中が持続しない。温度変化や音(大きな音、人の泣き声)に敏感で、泣くことがある。行動のほとんどに介助が必要である。
自分の興味のあること、好きなこと(食べること)に関しての興味は強く、自動販売機にお金を入れることができたりする。

指導者
担任1名

長期目標
手洗い後、かけてあるタオルで手の甲を拭くことができる。

短期目標
手洗い後、教師の指さしで手の甲を拭くことができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
トイレ後の手洗い後、教師の身体的介助(手を押さえる)があれば、手の甲を拭くことができる。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
夏休み前までは、手洗い後、教師がかけてあるタオルを本児の前に提示すると、手のひらをタオルにあてることができていた。事例研究に取り組むにあたって、家庭でもタオルで手を拭くよう準備をしてくれるというお話だった。その成果で夏休み後には、手洗い後、かけてあるタオルをにぎるようなかたちで手のひらを拭くことができるようになっている。現在もトイレ後、給食前の手洗い後にタオルをにぎって手のひらを拭くことが確実にできている。

般化場面
家での手洗い後(食事後)

指導場面
指導手続き1・・・給食前の手洗い後
指導手続き2・・・トイレ後の手洗い後

指導手続
1.タオルの前に立つ。
2.タオルを握る(手のひらを拭く)。
3.教師が左手を押さえた状態で、右手でタオルを持つ。
4.教師が左手を離すと、左手の甲を拭く。
5.教師が右手を押さえた状態で、左手でタオルを持つ。
6.教師が右手を離すと、右手の甲を拭く。

教材教具など
手洗い場の横にかけたタオル

達成基準
80%以上の達成率が3日連続できた場合を達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
プロンプトなし・・・2点
指さし・・・1点
身体的介助あり(手を持って誘導する)・・・0点


指導期間
2006年10月24日〜12月11日

結果
手続き1では、教室での指導となり、クラスメイトの声や音に反応して集中できなかったり、タオルが並んでかかっていることなどで「手を拭く」ということに集中できていなかった。そのため、手続き1を中止し、手続き2から指導を行うことにした。トイレは音等の刺激も少なく、タオルも1枚だけかかっている状態なので、視覚的にもわかりやすかったようで、教師の指さしなどをよく見るようになった。
指導開始5日目頃から、教師が手を押さえると反対の手でタオルを持つことができるようになってきた。指導開始10日目になると、タオルを持ったあと手を離すと、離された手の甲を拭くことができるようになり、指導開始20日目に目標を達成した。
繰り返し指導を行うことで、「手の甲を拭く」流れがわかってきており、指導手続の5で教師が手を押さえなくても片手でタオルを持って手の甲を拭くことができるようになってきている。また、12月11日には指導手続の3,5で教師が手を押さえることなく手の甲を拭くことができた。

考察
毎日繰り返す行動、指導に関してはルーティンで覚えることができるため、1日に2〜5回行くトイレでの指導は覚えやすいようだった。今後は教師のプロンプトを少しずつなくしていけるよう、指導を継続していきたい。また、今回の指導では、教師が本児の背後に立って行っていた。指導を継続するなかで、教師との距離をすこしずつ離していければと思う。

A:先行条件 B:行動 C:結果
手の平をタオルで拭いた後、教師が左手(右手)を押さえた時 正反応
a)右手(左手)でタオルを持つ。
誤反応
b)無反応
c)タオルに手の甲をつける。
正反応
a)「そう!」と褒める。
誤反応
b)5秒待つ。その後、タオルを指さしし、「持つ」と声かけをする。それでもタオルを持たなければ、手をとって、タオルに手を近づける。
c)「持つ」と声かけする。タオルを持つ様子がなければ、手をとってタオルを持つように促す。

A:先行条件 B:行動 C:結果
教師が左手(右手)を離した時 正反応
a)右手(左手)で持ったタオルを、左手(右手)の甲にあてる。
誤反応
b)タオルを離す。
c)左手(右手)でタオルをつかむ。
正反応
a)「そう!」と褒める。
誤反応
b)もう一度左手(右手)を押さえ、タオルを持つように促す。
c)左手(右手)をタオルから離し、もう一度左手(右手)を押さえるようにする。

ベースライン
A:先行条件 B:行動 C:結果
タオルの前に立つ時 片手でタオルを持つ 行動が生起しないので強化されず(−)

指導手続き2
A:先行条件 B:行動 C:結果
タオルの前に立つ時
教師が片手を押さえる
片手でタオルを持つ 手の甲を拭ける(↑)
褒められる(↑)
トイレから出ることができる(↑)


第一系列のタイトル: 指導手続き1
Intervention1: 指導手続き1  
第二系列のタイトル: 指導手続き2
Intervention2: 指導手続き2  
記入日時 2006/10/16/15:02:41  No.294
記入者 NA  E-Mail

現行ログ/ [1]
++コラボネット++

++マニュアル++
TOP
shiromuku(h)DATA version 4.00