200634



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携帯しているトイレカードを渡してからトイレに行くことができる支援
概 要
トイレの場所が分かっていると一人でトイレに行くことができたが、本児がトイレの場所を知らない所で授業をしている際、トイレを失敗してしまったことがある。家庭で外出の際も、トイレの場所がわからないと失敗することがあるようである。そこで、携帯しているトイレカードを事前に提示してトイレに行きたいことを伝えることができればと考え、本事例に取り組むことにした。

対象児のプロフィール
N児 小5男児 自閉症

諸検査結果
新版K式 (平成14年12月6日)
(P−M/2 : 11 )(C−A/ 1 : 7 )(L−S/0 : 11 )(全領域/ 1:7)

障害の特性
拒否の時に「おしまい。」と言うことはあるが、有意語はほとんどない。
頭を叩いたり手を噛んだりの自傷がある。要求はクレーンハンドや頭をペコッと下げる。


指導者
to

長期目標
外出先でトイレがしたくなった時、携帯しているトイレカードを渡すことでトイレに連れていってもらうことができる。

短期目標
学校や家庭で、携帯しているトイレカードを渡してからトイレに行くことができる。

指導目標(標的行動とこれを選んだ理由)
(標的行動)
学校の教室内でトイレがしたくなった時、携帯しているトイレカードを担任教師に渡してからトイレに行くことができる。
(標的行動を選んだ理由)
有意語がほとんどない本児にとって、発語以外で自分の意思を伝えることは大切なこととなる。その一つとして今回は、携帯しているトイレカードを担任に渡してからトイレに行くことを考えた。トイレの場所が分からない場所でも、トイレを失敗するのではなく、カードを渡すことでトイレの場所を知ってトイレをすることができるようになって欲しい。その第一歩として今回の標的行動(教室内の担任という条件)を選んだ。

指導目標に関する対象児の実態(ベースライン)
〈カードの指導について〉
・カードの指導については、「遊んで下さい」カードでの要求や、4つのビデオの写真カードからの選択を達成している。
〈トイレカードについて〉
・昨年度まで
プレイコーナー横に設置しているトイレカード(縦7.5センチメートル、横7.5センチメートル)を取り、教室外にあるトイレ横のカード入れにトイレカードを入れてからトイレに行っていた。
・今年度6月から9月まで
今まで使っていたトイレカードを教師に渡してからトイレに行く指導を始めているが、まだ声かけや後方からの身体的ガイダンスが必要なことが多い。
・9月1日〜9月4日
トイレカードが何を意味するか分からず渡さずにトイレに行く。

般化場面
1)家庭
2)外出先

指導場面
教室

指導手続
(ベースライン)トイレカードを体操服上着の裾に付け、何も支援はしない。教師は教室の入り口5メートル以内の場所で立っておく。3日間行う。
(指導)本児の体操服上着の裾にトイレの絵カードをマジックテープで付けたホルダーをつけておき、常に携帯しておく。


教材教具など
トイレカード

達成基準
1日の達成率をパーセンテージで記録し、80パーセント以上が5日連続で目標達成とする。

記録の取り方(般化場面と指導場面)
1日の達成率をパーセンテージで記録する。小数点第1位を四捨五入して示す。
次のように得点化する。
3点…自らトイレカードを渡すことができた
2点…声かけや指さしでトイレカードを渡すことができた
1点…身体的ガイダンスでトイレカードを渡すことができた

指導期間
2006年9月1日〜11月

結果
 9月1日から3日間とったベースラインでは、全て0点であった。カードが何を意味するか分からず噛んだりしていた。同時に、以前まで使用していたプレイコーナー横のトイレカードを取り外していたため、ズボンを下ろそうとする様子を教師に見せてからトイレに行くこともあった。
 9月6日から指導を始める。最初の3日間は身体的ガイダンスが必要であった。4日目以降、声かけや指さしで渡すことができ始める。11日目以降、自らトイレカードを渡すことができ始める。10月中旬に目標を達成した。
 10月23日から1日の平均が80パーセントを切ることが数日あったが、再度定着し、11月中旬には自ら渡すことができるようになった。
 近くに担当の教師がいないとトイレカードを渡さずに行くことが2回、補教に入って下さった教師など担当している教師以外の教師に渡すことが2回あった。

考察
 コミュニケーションについて考える際、『機能』『手段』『文脈』の3点から考えるとよいという助言をいただいた。現在(after)と長期目標を比較した際、「要求」という『機能』や「トイレカード」という『手段』は同じであるが、「場所」という『文脈』が変わってくる。長期目標の指導は、まだ本児の実態に合っていないので、他の教師に渡す機会を作ったり、「おやつカード」の選択の指導をしたりして今後カードを渡す幅を広げていきたい。
 また、家庭で「洋式トイレで床を汚すことがある」、「大便の後始末が一人では難しい」ということもあるので、般化として家庭で冬休みに取り組んでいただいた。トイレカードをあちこちで捨てていたようで5日目に中止している。家庭での般化を考える時、まずは、お菓子の要求など取り組み易いものからカード指導を始めてもらえばよかったと反省している。カードのみならず、学校でできるようになったことを家庭で般化できるようにする工夫について今後も考えていきたい。

before (学校)
A:先行条件 B:行動 C:結果
尿意あり+かべにカード+トイレの場所を知っている カードをとってトイレ横のケースに入れる 尿意なし(↑)

after (学校)
A:先行条件 B:行動 C:結果
尿意あり+携帯しているトイレカード+トイレの場所を知っている トイレカードを担任に渡す 尿意なし(↑)
ほめられる(↑)

(家庭)
A:先行条件 B:行動 C:結果
尿意あり+トイレの場所を知っている トイレに行く 尿意なし(↑)

(外出先)
A:先行条件 B:行動 C:結果
尿意あり+携帯しているトイレカード+トイレの場所を知らない トイレカードを担任に渡す トイレのある場所へ連れて行ってくれる(↑)


第一系列のタイトル: トイレカードを渡すことができる
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1  
第二系列のタイトル: 
Baseline: ベースライン   Intervention1: 指導手続き1  
記入日時 2006/12/04/11:50:35  No.326
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