概 要 |
本児は、集中できる時間が短く、待ち時間が苦手である。そのため、同じプレイエリアにいる児童に対して他害を行ったり、注目を集めるためや要求を伝える手段として、大声を出すことがある。 タイマーを使用することで、プレイエリアで一人で過ごす時間は増えたが、タイマーを見ながら本やカードを噛むことが多くなり、ほぼ大半の時間を噛みながら過ごすようになってしまった。また、スケジュールカードや服等、他の場面でも噛むことが多くなってきた。 そのため、噛む物を決めて、噛みたいときに要求できることをねらってこのケースを取り上げた。
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諸検査結果 |
PEP−R 1歳7ヶ月 KIDS 1歳8ヶ月
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障害の特性 |
視覚優位であるが、聴覚情報にも敏感である。 衝動的で、見えた物を欲しがることが多い。 大人や特定の児童への関心は強いが、表現方法が獲得できておらず、叩く・蹴る・大声を出す等になってしまう。
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長期目標 |
欲しい物があるときに、言葉や指さしで要求することができる。
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短期目標 |
遊び時間に何かを噛みたいときには、教師に歯がためを言葉や指さしで要求することができる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
プレイエリアで過ごすときに、歯がためを指さしや言葉で教師に要求することができる。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
プレイエリアで、音の鳴る絵本を見ながら本を噛んだり、ラミネートされた食べ物カードやブロックを噛むことが多い。歯がためを見せると、反対方向に身体の向きを変えてカードやブロックを噛み続ける。
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般化場面 |
本を見るための場所で本を見るときにも、本を噛まずに歯がためを要求できる。
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指導場面 |
2時間目と3時間目の間の休み時間、課題終了後(3時間目)の遊びの時間で、プレイエリアで過ごす時。
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指導手続 |
1,食べ物カードをプレイエリアからなくす。 2,絵本の種類を増やし、個室で本を見る時間を作り、プ レイエリアで過ごす時間を減らす。 3,歯がためを手が届かず、見える場所につる。 4,本やブロックを噛んだときに、指さしや声かけで歯が ためや指さしで歯がためを要求するように促す。 5,本やブロックを噛んだときに、目の前に歯がためを提 示して、歯がためを要求するように促す。 6,本やブロックを噛んだときに、「噛むならこっち」と 取り替える。 7,噛む物を歯がためからブロックに変える。
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教材教具など |
歯がため 音の鳴る本、食べ物、乗り物等の本。 ブロック(噛むよう)
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達成基準 |
歯がためを自分から要求できる日が、5日連続したら達成とする。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
・歯がためを自分から要求できる。 (3点) ・本やブロックを噛んだときに、指さしや声かけで歯が ためを要求するように促す。 (2点) ・本やブロックを噛んだときに、目の前に歯がためを提 示して、歯がためを要求するように促す。(1点) ・本やブロックを噛んだときに、「噛むならこっち」と 取り替える。 (0点)
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指導期間 |
H19.2〜H19.2.16・・歯がため使用 H19.2.20〜 ブロック使用
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結果 |
歯がためは、「いらん」と拒否を示す時が多かった。そのため、要求行動を増やすことはできなかった。 そこで、噛む物を『ブロック』に変更して提示した。
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考察 |
歯がためを取り入れた直後には、要求行動が少しは見られた。しかし、本児が求めている感触ではなかったようで「いらん」と拒否を示し、本やブロックを噛むことが増え、要求行動が増えなかったと思われる。 噛む物を、本児が噛むことで落ちつくことができる物に変更しようと考え、本以外の物で時々噛んでいたブロックを提示することにした。
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歯がための要求ができる
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
休憩時間 プレイエリア 歯がため(ブロック)の提示なし |
本などを噛む |
噛む感触 あり。(↑) ほんがなくなる。(↓) |
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
休憩時間 プレイエリア 歯がため(ブロック)の提示あり |
歯がための要求あり |
噛む感触 あり(↑) 噛む物を手に入れられる。(↑) |
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第一系列のタイトル: 歯がための要求 |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導手続き1 歯がためを見える場所に置き、カードをのけ る
Intervention2: 指導手続き2 ブロックをのける
Intervention3: 指導手続き3 歯がためをブロックに変更する。
Intervention4: 指導手続き4
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第二系列のタイトル: 本などを噛んだ回数 |
Baseline: ベースライン
Intervention1: 指導手続き1 歯がためを置き、カードをのける
Intervention2: 指導手続き2 ブロックをのける
Intervention3: 指導手続き3 歯がためをブロックに変更する。
Intervention4: 指導手続き4
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記入日時 2007/02/03/14:12:14
No.353
記入者 mk
E-Mail
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