概 要 |
対象児童は、学習や生活全般の課題に意欲的に取り組む姿勢は持っている。だが、友達の言動に左右され、友達の機嫌を取ろうとする言動をとってしまいがちで,だんだんと気分がそれていく傾向がみられる。また、教師の助言や「やり直そう。」という指示には,拒否的な反応することも多い。結果,課題に集中できないことも多い。そこで、彼の読書やドリル学習の時間環境設定や課題の時間を視覚的に表示したりすることで、他人の言動になるべく左右されず、自分の課題に集中して取り組むことができる条件を明らかにしていきたい。
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諸検査結果 |
WISC-R (H.15.9.8) 言語性評価 VIQ50 動作性評価 PIQ58 全検査評価点IQ45
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障害の特性 |
3歳児検診時、自閉的傾向との診断で、幼児期〜幼稚園の期間、療育機関へ通所。
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長期目標 |
学習時間(45分)には、他人の言動に左右されず、自分の課題に集中することができる。
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短期目標 |
朝の読書(火曜、水曜、金曜)(8:20〜8:30) 昼のドリルの時間(火曜〜金曜)(13:35〜13:45)に課題と関係のないことには、「言いません。」と返答し、自分の課題に集中して取り組むことができる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
一人教室で課題学習に取り組むときは、熱心に集中して取り組むことができるようになってきている。だが、4人の級友と一緒の時間には、友達の言動に左右され留ことが多い。また、教師の課題を修正するようにという助言も聞き入れにくいところも見られる。その気分が続き、課題に集中できにくい状況が見られる。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
1年生児童が、「○○君好き」というと、「ありがとう。」、「○○君嫌い。」と言われると、下を向いたり「アーン。」と言ったり、机やいすを動したりする。対象児が、「マリオ好き、ルイージ嫌い。」と言うのがはやっていたとき、1年生も乗ってきて2人で盛り上がることも多かった。「だれに 言よん?」「○○さん。」というといやな表情で、机を動かし離したり、「あー。」という声が出たりする。 1日目朝読書「○○くんの横いけん。」「いいよ。」の会話が2回 机、いすを動かす行動1回 ドリル「バレンタインがある。」「偉いなあ。」2回 後ろを振り向く。1回 「○○君、天才。」「○○ちゃん、がんばれ。」 「何言ってるんだろう。」 等の言葉(10分間) 2日め、朝読 いす。机の位置を動かす。3回 後ろを振り向く。1回 「○○ちゃん、きた。」「大丈夫」2回 ドリル 「いいですよ。」「だれにいよん?」 「マリオいよん?」「○○くん」 ○○君」 「何笑いよん。」 「○○ちゃん、席替えはもうやめとこう かな。」 「○○くん」
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般化場面 |
授業時間の自立課題学習の時間や交流学級での授業(自分で活動する時間)
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指導場面 |
朝の読書(火曜、水曜、金曜)(8:20〜8:30) 昼のドリルの時間(火曜〜金曜)(13:35〜13:45)
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指導手続 |
朝の読書では,10分のタイマーをセットし,「静かに動かずに読書をしましょう。」というカードを表示し,読書している間にしゃべった場合「シー」カードの表示
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教材教具など |
朝の読書−学級文庫の本(自分で選ぶ) タイマー(10分間を視覚的に) 「シー」カード 読んだ本の記録用紙
ドリル 火曜 木曜 計算ドリル 水曜 金曜 漢字ドリル タイマー(10分間を視覚的に) 「シー」カード
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達成基準 |
友だちの言葉に応え返さず,振り向いたり,机いす等を動かすなどの言動がない日が4日間続いたとき達成したとする。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
指導場面 ドリルの時間 机いすを動かす・後ろなどを向く回数 しゃべった回数
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〜しようと言われたとき
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
課題学習や生活の場面で、教師の助言や修正の指示を受けたとき |
自分の机やいすを動かして列から離したり、「ルイージ嫌い、マリオ好き」等と言う。 |
教師に注意される。 |
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〜しようと言われたとき
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
課題学習や生活の場面で、教師の助言や修正の指示を受けたとき |
「〜がいやだよ。」 「〜がむずかしい。」 「〜を手伝ってください。」 等と言える。
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手助けや支援を受け、課題がうまくいく。 (ほめられる。) |
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友達の言動が気になったとき、
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
友達に○○君嫌いと言われたとき |
「好き、嫌いは言いません。」と答え、課題を続ける。
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課題が、順調に進み、ほめられる。 |
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記入日時 2007/02/01/17:41:16
No.351
記入者 山田美江子
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