概 要 |
授業中、意見や質問があったり答えがわからない時、周囲を気にせず、すぐに述べてしまうことがよくある。特に集団が大きくなると顕著である。 \x{2460}意見や質問をする場面と聞く場面を区別できず、思いついた時に思いついたままに発言する。 \x{2461}集団の中で目立つのが好きなため、とにかく発言したい。 \x{2462}前で話している人(先生や友だち)の話を中断したり、周囲の状況に気づかず自分だけが話していることがよくある。
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諸検査結果 |
WISC−\x{2162} FIQ=71(2005年5月12日)
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障害の特性 |
・衝動性(何かを思いついたら、周りの状況に関係なく行動してしまう。) ・自尊心が低く自信がない。 ・集団の中で目立つのが大好き。 ・自己コントロール力が低い。
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長期目標 |
授業中、挙手したり、順番を守って、自分の意見を述べたり質問できる。
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短期目標 |
朝の会と帰りの会で、先生の話の時、挙手をし、指名されたときのみに自分の意見や質問を述べる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
(指導目標)朝の会と帰りの会で「先生のお話」の時、挙手をし、かつ指名されたときのみに自分の意見や質問を述べる。 (理由)集団での学習場面において、思いついたままに自分の意見を述べたり質問することが非常に多い。卒業後も集団の中で生活をする機会は多くあるであろうと予想され、集団の中で、発言する場面と聞く場面を区別できるようになってほしいと考えている。その第一歩として、この目標を選定した。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
朝の会と帰りの会で、「先生のお話」の時、時間割や時事・時候などの話について、思いついたままに自分の意見を述べたり質問をする。後から意見を述べるように伝えても、その時はできるが、場面がかわると忘れてしまっている。 ソーシャルスキルトレーニングの時間には、「集団で意見を述べるときには挙手して言う。指名されるまで順番を待つ。」という学習を行っている。内容は十分に理解できていて、この授業中は適切な行動がとれている。しかし、その他の場面で般化するには至っていない。
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般化場面 |
2名以上の集団で行う授業のうち、授業中に先生が話している時(予定)。(1回/日) 月曜:学部集会(5校時) 火曜:職業(3校時) 水曜:美術(5校時) 木曜:園芸(5校時) 金曜:家事スキル(2校時)
※指導場面での状況を見て変更あり。
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指導場面 |
日常生活の指導:朝の会と帰りの会(2回/日) 「先生のお話」の場面
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指導手続 |
\x{2460}ソーシャルスキルトレーニングの指導法を取り入れる。 ・インストラクション:指導開始日に行う。「意見を言うときは、手を挙げて、指名されてから言う。」という張り紙を黒板の端に貼る。毎日、朝の会で、「今週の目標」として教員が確認する。 ・モデリング:指導開始日の朝の会でモデリング用のビデオ(教員がよい見本をする)を視聴する。 ・フィードバック:指導2日目(火曜日)の職業の時間に、月曜か火曜どちらかの朝の会の様子のビデオ(挙手して発言できている場面のみ)を視聴する(対象生徒を含め2,3名)。指導5日目(金曜日)の帰りの会で、ビデオ(挙手して発言できている場面のみ)を視聴し「今週の目標」を振り返る(生徒全員)。 \x{2462}挙手して指名されてから発言できたら、直後に言語で賞賛する。また、挙手して教師に指名されなかったときでも、発言せずにいられたら、賞賛する。 \x{2463}指導開始後に、思いついたままに質問をする行動が見られた場合は、その行動の直後に教師が張り紙をゆびさし、目標を再確認するようにする。 \x{2464}対象生徒以外の生徒に対しても、同様に指導する。
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教材教具など |
・張り紙 ・モデリングのビデオ(教師が生徒役と教師役になり朝の会の様子を演じる。) ・フィードバックのビデオ(指導の1週目に毎日撮影する。)
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達成基準 |
指導場面全16回のうち、10回達成できたかどうか。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
(指導場面) ・挙手して、指名されてから、意見や質問を述べたかどうか。 ・挙手せず発言した場合でも、直後に自分の行動に気づき、挙手しなおしてから、発言できたかどうか。 ・教師の話に対するリアクション(感嘆詞、独り言など)は評価の対象としない。友達とのおしゃべりについても指導は行っても評価の対象としない。 ・指導場面中、始終できたら1点、1度でもできなければ0点。 ・達成基準を達成した後で、同じ記録を上述の般化場面で記録する。
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指導期間 |
(ベースライン期間) 2005年10月11日(火曜日)〜2005年10月21日(金曜日)8日間
(指導期間) 2005年10月24日(月曜日)〜2005年11月4日(金曜日)8日間
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結果 |
数値的には指導期間中もベースライン期間から変化がみられず、達成基準には達しなかった。
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考察 |
指導期間中、挙手して発言しようとの意識が生まれた。発言する回数が減った。また、挙手して発言する行動が見られ、全体的に行動の質的には変化があったと思われる。 指導場面以外の授業において、授業によっては、「今週の目標」を意識した行動がみられた。(挙手して発言できることもあった。)集団で指導することにより、他の生徒が行動をみて、自分の行動を振り返られることもあり、よい効果が見られた。
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参考にした先行研究や事例など |
2003年ABA事例研究 北島南小学校のケース1
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(現状1)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
朝の会で先生が話しているとき |
思いついたままに質問をする |
気になることに先生が答えてくれる(↑) |
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(現状2)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
帰りの会で先生が話しているとき |
雑学や知っていることを思いついたままに述べる |
言いたいことが言える(↑) 先生からの賞賛や友だちからの尊敬のまなざし(↑) |
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(指導後1、2)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
1、朝の会で先生が話しているとき 2、挙手しても指名されないとき |
1、挙手して指名されたときに、自分の意見や質問を述べる 2、発言せずにいられた
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目標が守れたことに対して賞賛をうける(↑) |
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(指導後3、4)
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A:先行条件 |
B:行動 |
C:結果 |
3、目標が貼ってある教室で先生が話しているとき 4、張り紙で今週の目標を確認しなおしたとき |
3、挙手せずに発言する 4、挙手して指名されたときに、自分の意見や質問を述べる
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3、張り紙を指され目標を確認する(↓) 4、目標が守れたことに対して賞賛をうける(↑) |
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第一系列のタイトル: beseline |
beseline: ベースライン
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第二系列のタイトル: intervenntion |
intervenntion: 介入
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記入日時 2005/10/04/12:06:44
No.44
記入者 FH
E-Mail
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