概 要 |
数字や文字を速く書くためか,枠からはみ出したり,正確な形の文字や数字をかけなかったりすることが多く,判読しにくい。 本人は,日記の罫線内に書くことは,ほぼできているが,他の人は,読みにくいところがある。また,担任から書き直しを求められることは嫌な様子だが,はじめから正確な文字や数字を書こうという意欲はないようである。 その他,学校の掃除や廊下掃除の手伝いなど作業も雑になりがちである。
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対象児のプロフィール |
MN 小学校5年生 男子 家族は,両親,祖母,兄(県内の大学生),姉(県外の大学生) 本人には,大学生の姉,兄がおり,母親は,彼の障害を早い時期(幼稚園入園時ぐらいに)から,真剣に受け止め,熱心に彼に係わり,養育している。
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諸検査結果 |
WISCーR(H15年9月実施) 言語性 VIQ 65 動作性 PIQ 91 IQ 72
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障害の特性 |
幼児期に自閉症と診断される。2.3歳のときには,買い物途中によく迷子になっていたようだ。においや音に敏感。変更されるのは嫌う。ただ,時間割の変更などは,変更理由と時間割のスケジュール欄への記入することで,だいぶ受け入れやすくなっている。初めて経験することには,不安が多く,質問や不安を口にする。
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長期目標 |
日記・ノートなどに,筆圧・字間・大きさなどのそろった,終画も正しい文字が書けるようになる。
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短期目標 |
文字の終画の終わりの部分を正しく書くことができる。
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指導目標(標的行動とこれを選んだ理由) |
標的行動:1分間に,手本の文章を見て,文字の終画の終わりの部分(とめ,はね,はらい)を正しく,数多く書くことができる。 理由:本児のノート・作文・日記等に書く文字が他の人に判読しにくい部分がある。 それは,文字の終画のとめ・はらいが逆になっていたり,罫線の中心に書けずにゆがんでいたり,筆圧が一定せず,濃くなったり薄くなったりしているためであると思われる。 そこで本児にわかりやすいと思われる文字の終画のとめ・はね・はらいに注目して視写するという指導を通じて,正しく文字を書けるようにしたい。
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指導目標に関する対象児の実態(ベースライン) |
今まで,書いている日記の4日分について文字の終画の正・誤をカウントする。
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般化場面 |
・連絡帳の日記 ・授業のノート ・家庭学習のプリント
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指導手続 |
指導手続き1: あらかじめ,机の上に「字のおしまいに注意して書こう」カードをおいておく。 1.1.8\x{339d}マスのノートに,国語の教科書の文章を,1分間視写する。(指導者がタイマーをセットし,1分間を測定する。) 2.視写が終わったら,正反応数と誤反応数を対象児に伝える。 ※ドリルの時間(10分間)が,終わっていないときは,1〜2を繰り返す。
指導手続き2: 1.1.8\x{339d}マスのノートに,国語の教科書の文章を,2行(24字)視写する。 2.視写が終わったら,対象児に正反応数−誤反応数をグラフ上にプロットさせる。 ※ドリルの時間(10分間)が,終わっていないときは,1〜2を繰り返す。
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教材教具など |
国語の教科書 1.8\x{339d}マスのノート 終画のとめ,はらいの正誤例が示されている「字のおしまいに注意して書こう」カード
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達成基準 |
指導手続き1: 正応数が20個以上で,誤反応数が5個以下が5日間連続したとき,達成と見なす。
10日以上,正反応数が15を超えないことが続いたとき,指導計画を見直す。
指導手続き2: 正反応数−誤反応数が,15を5日間連続したとき,達成したと見なす。
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記録の取り方(般化場面と指導場面) |
指導手続き1: 視写の課題(1回1分間)において,終画(とめ,はね,はらい)が正しく書けた文字数と間違っていた文字数を数える(1分間あたりの正反応数と誤反応数)。 一日に数回課題ができたときには,正反応数が最大となった課題時の,正反応数と誤反応数をその日のデータとした。(句読点は,カウントしない。)
指導手続き2: 2行(24字)を視写する時間を,ストップウオッチで計測し,1分間あたりの正反応数と誤反応数の文字数を記録する。(24字のため,句読点もカウントする。)
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指導期間 |
指導手続き1: 12月15日から2ヶ月程度
指導手続き2: 2月21日から2ヶ月程度
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第一系列のタイトル: ドリルの時間における正反応数 |
intervention1: 指導手続き1
intervention2: 指導手続き2
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第二系列のタイトル: ドリルの時間における誤反応数 |
intervention1: 指導手続き1
intervention2: 指導手続き2
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記入日時 2005/12/14/17:09:00
No.79
記入者 山田美江子
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