201012



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事例担当者のイニシャル[HELP]K A
事例研究のタイトル[HELP]小学部低学年自閉症児が,給食準備時にスケジュールに沿って一人で場所移動ができるための支援
事例の概要[HELP]トランジッションカードを受け取るとトランジッションエリアに戻ることができるが,そのカードに示された活動場所に正しく移動できないことがある。
対象児のプロフィール[HELP]・特別支援学校小学部2年生,女子,自閉症,知的障害
・PEP−R:1歳5か月(平成21年7月)
・ジャルゴン的な音声(ダダダなど)を出すことができるが,音声模倣をしたり意味のある言葉を話 したりすることはできない。
・要求手段はクレーン。拒否は手を押しのける,顔をそむけるなど。何をしていいか分からない時や要求が通らない時など情緒不安定になることがよく見られる。
長期目標[HELP]スケジュールに沿って,一人で場所移動ができる。
短期目標[HELP]給食の準備時に,スケジュールに沿って,一人で場所移動ができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]給食準備時に,5つの活動(手洗い・おしぼり・エプロン・消毒・給食運び)をカードや具体物によるスケジュールに沿って,一人で場所移動をすることができる。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]次のスケジュールではないカードや具体物を選ぶ。カードや具体物に示された活動場所とは違う場所に移動する。カードや具体物を持って,じっとその場にとどまっている。
標的行動を取り上げる意義[HELP] 本児は,することがはっきりしている時は安定して活動に取り組めるが,待つ時間などすることがはっきり分かりにくい時は不安定になることがある。スケジュールを利用して,見通しを持って行動することは,落ち着いて行動するために不可欠である。現在は,課題学習など自分の関心の高い活動はスケジュールを利用して一人でほぼできるようになってきたが,給食の準備などたくさんの内容が含まれる活動や途中にいろいろな刺激のある教室移動は,教員の介助が必要なことが多い。
 そこで,Cさんにとって関心が高く意欲的に活動ができる給食準備時を取り上げ,スケジュールが正しく使え,場所移動が正しくできるようにしたい。スケジュールの正しい使い方が定着すると,生活全般にわたり,落ち着いて行動できることにつながると考えられる。また,一人で場所移動が正しくできるようになると,主体的に行動する場面が増えると考えられる。
事例に関する情報[HELP]・スケジュールは,写真カードを2〜3枚提示(遊びで終わるように)する方法で行い,写真を持って 移動するようにしていた。
・トランジッションカードを受け取るとスケジュールに戻り,上から順にカードを取ることは正しく できる。
・写真カードのマッチングは正しくできる。
・カードを持って活動場所に移動する際,違う場所に行くことがある。(給食カードを持って,廊下 に給食を取りに行かずに机に座ろうとする など)
・エプロンカードを持って移動したのに,おしぼりを取るなどカードに示された内容と違う活動をす ることがある。
問題の推定原因[HELP]1.エプロンとおしぼりと同じ入れ物に入れてあるので,次の活動が何か分かりにくい。
2.トランジッションエリア,おしぼりやエプロンを置いてある場所,流し台の3か所を何度も行き 来するので,動線が複雑になっていて分かりにくい。
3.カードを持って移動はしているが,次の活動はこれと認識しにくい。
想定される解決策[HELP]1.3.スケジュールを具体物による提示にし,具体物を持って移動する方法に変更する。
2.はじめに流し台に行く活動をまとめ,動線をできるだけ簡単にする。
般化を狙う場面[HELP]音楽室や体育館への教室移動
指導場面[HELP]給食の準備時
指導手続き[HELP](1)スケジュールの提示方法を変更する。
  課題分析
1 手洗いカードを持って手洗い場に移動する。
2 おしぼりの入ったトレーを持って手洗い場に移動する。
3 エプロンを取ってその場で着る。
4 消毒カードを持って棚まで移動する。
5 給食カードを持って廊下まで移動する。
(2)上記の課題2と3についてエラーレス指導を行う。…指導1(3日間)
(3)教員はトランジッションカードを手渡した後,Cさんを後方より見守る。必要により身体的    ガイダンスを行う。…指導2(8日間)
(4)課題2につき再びエラーレス指導を行う。…指導3(5日間)
(5)教員はトランジッションカードを手渡した後,Cさんを後方より見守る。必要により身体的    ガイダンスを行う。…指導4
利用可能な好子[HELP]ホーススイング,ミュージック絵本,セラピーボール,手押し車に乗ること,外に出て風に吹かれること
教材教具など[HELP]スケジュール提示用棚,写真カード(手洗い・消毒・給食),具体物(おしぼり・エプロン)
記録の取り方[HELP]課題分析に従い,各項目のプロンプトの有無を記録する。
 ・○:一人でできた。
 ・△:プロンプト(ことばかけ)が必要であった。
 ・×:身体的ガイダンスが必要であった。
指導期間と達成基準[HELP]指導期間:2010年11月10日〜
達成基準:すべての項目が一人でできた日が5日間連続で達成とする。

結果[HELP]・指導1で項目3の「エプロンを取ってその場で着る」については定着した。
・項目2「おしぼりの入ったトレーを持って手洗い場に移動する」は,この機にお手伝い活動を取り入れ,トレーごと移動する方法に変更したため定着しなかった。そのため指導3で再びエラーレス指導を行った。
・その結果,指導4では,ことばかけのみのプロンプトでできるようになり,5日目からは,プロンプトなしでできるようになった。
考察[HELP]・具体物を取り入れた提示方法にすると,次に何をするのかが一目で分かり,本児にとって理解しやすかった。
・また,おしぼりやエプロンを取りに行く過程が省かれ移動回数が減り,移動場所が4か所から3か所に減ったのも理解しやすかった。
・活動内容を変更する時は3日間のエラーレス指導では短すぎた。2週間程度の期間が必要であった。
・給食準備時には,スケジュールを利用して自分から活動を進めることができるようになり,情緒の安定にもつながっている様子が見受けられる。
・スケジュールに具体物を提示することにより,牛乳パック運びのお手伝い時にも廊下への移動が安定してできるようになった。
・今後は体育館や音楽室への移動にもつなげていきたい。

指導前
A:先行条件 B:行動 C:結果
給食の準備時
複数の写真カードのスケジュール
エプロンカードを持って移動した時
かごの中にエプロンとおしぼりが入っている時

おしぼりを取る


おしぼりを置き,エプロンを取るようにガイダンスを受ける(↓)
教員に教えてもらえる(↑)
準備が進む(↑)


指導前
A:先行条件 B:行動 C:結果
給食の準備時
給食運びカードを持った時
どこにいくのか分からない
教員が少し離れている
机のほうへ行く すぐに教員が来てくれる(↑)
どこに行けばいいのか案内してくれる(↑)
いすに座れる(↑)

指導後
A:先行条件 B:行動 C:結果
給食の準備時
スケジュールの棚におしぼり
おしぼりを取る すぐにおしぼりの準備ができる(↑)

指導後
A:先行条件 B:行動 C:結果
給食の準備時
スケジュールの棚にエプロン
エプロンを取る すぐにエプロンをつけることができる(↑)

指導後
A:先行条件 B:行動 C:結果
給食の準備時
水道前・かごの前・トランジッションエリアの場所移動が7回目
給食運びカードを持った時
教員が少し離れている
廊下に給食を取りに行く すぐに給食が手に入る(↑)

FILE 172_192_1.xls
FILE 172_192_2.ppt
記入日時 2010/11/08/16:20:01

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