201031
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事例担当者のイニシャル
[HELP]
E
事例研究のタイトル
[HELP]
買い物時、購入した物の金額を1人で財布から出して支払うための支援
事例の概要
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9月までの学習で、10円玉で構成された10円〜100円までのイラストカードと「○えん」という文字カードのマッチングができるようになっている。
しかし、10円と100円を間違えることがまれに見られる状態である。(10円玉10個だから10がつく10円という文字カードを貼る)
音声で聞いた10円〜100円の実物(10円玉で構成)を机上に並べていくという学習では、100円を取ることが難しい。
慣れた教員や、自信があること・もの、興味のあることに関しては、言葉を発するが、それ以外では言葉を発することはあまりない。間違えているかもしれないと本人が感じる場合、口を閉ざしてしまったり、泣き出してしまうことがある。
対象児のプロフィール
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高等部1年生 女 知的障害
S‐M社会生活能力検査 CA16歳1ヶ月 SA4歳9ヶ月 SQ37
指導者の役割と人数
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担任2名(週5日のうち4日はE、1日はI)
長期目標
[HELP]
生活単元学習の買い物の練習時、レジの金額を見て、お金を財布から出す。
短期目標
[HELP]
1、文字で提示された硬貨を財布から出す。
step1、1円・10円・100円を用いて
step2、1円・10円・100円・500円を用いて
2、音声で聞いた硬貨を財布から出す。
step1、1円・10円・100円を用いて
step2、1円・10円・100円・500円を用いて
標的行動(増やしたい行動)
[HELP]
文字カードを見て、(1円、10円、100円の3種類の硬貨から)お金を財布から出す。
標的行動を取り上げる意義
[HELP]
保護者から「お金があれば物が買えるという感覚を持ってほしい」というニーズがあり、生活単元学習の時間に買い物学習に行く計画を立てている。
その際、好きなお菓子を1つ選んで1人で購入して欲しいと考えている。
本人が選択すると考えられるお菓子の値段を考え、600円までの金額を設定した。
事例に関する情報
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(110円〜150円)
(1)音声を聞いて実物を取る→100%
(2)イラストを見て実物を取る→60%(140円→150円、150円→160円)
(3)文字カードを見て実物を取る→80%(110円→60円)
(4)実物を見て「○円」と言う→0%
(5)実物を見てイラストカードとマッチングする→100%
(6)実物を見て、文字カードとマッチングする→20%(120円→130円、130円→140円、140円→150円、150円→「ない」と言う)
(7)音声を聞いてイラストカードを取る→0%(110円→120円、120円→130円、130円→140円、140円→150円、150円→140円)
(8)イラストカードを見て「○円」と言う→0%(「わかりません」と言う)
(9)文字カードを読む→0%(110円→「いち10えん」、120円→「いち20えん」以下150円まで同様の読み)
(10)音声を聞いて文字カードを取る→100%
(11)イラストカードに文字カードをマッチングさせる→20%(120円→130円、130円→140円、140円→150円、150円→110円)
(12)文字カードを見てイラストカードを取る→40%(110円→150円、140円→130円、150円→140円)
本人は間違えることに強い抵抗があり、答えをなかなか口に出せない。
訂正を受けると、動きが止まったり、泣き出してしまうことがある。
生活単元学習で買い物学習の学習を行うようになり(現在4回終了)、買い物学習の学習以後、110円の文字カードを見て「ひゃくじゅうえん」と読むことができるようになった。(11月4日現在)
問題の推定原因
[HELP]
1、未学習のため
2、自分の答えに自信がなく、答えることができていないため
3、過去の失敗経験があるため
想定される解決策
[HELP]
1、お金を数えたり抽出する学習を行う
2、成功体験を重ねる(できていることを教員がほめる)
3、できる限りエラーレスで指導を行うようにする
選択した原因と解決策
[HELP]
1、未学習のため
→お金を数えたり抽出する学習を行う
般化を狙う場面
[HELP]
校外学習での買い物
家庭での買い物
指導場面
[HELP]
自立活動(対面学習)
指導手続き
[HELP]
1、文字で提示された硬貨を財布から出す。
(step1、1円・10円・100円を用いて)
1、1円10枚、10円10枚、100円10枚をそれぞれ入れた財布(計3個)を本人に手渡しておく。
2、教員はカウンティングシートに100円〜600円までの金額をランダムに記入する。
3、「お金出してください」という声かけを行う。
4、正しい金額を出すことができた場合は「すごいね!!」と褒める。
間違った金額をだした場合は、教員と一緒に確認しながら修正をする。
動きが止まってしまった場合は「1円の数字はなにかな?」とヒントを与える。
(step2、1円・10円・100円・500円を用いて)
1、指導開始から2日間は、100円5枚と500円が同じであるということを、教員がお金を並べて説明する。
2、1円10枚、10円10枚、100円10枚、500円1枚をそれぞれ入れた財布(計4個)を本人に手渡す。
3、教員はカウンティングシートに100円〜600円までの金額をランダムに記入する。
4、「お金出してください」という声かけを行う。
(step2では、500円以上の金額を5問中1問以上含むようにする。)
指導開始から2日間は、500円以上の場合は500円玉を用いるように声かけをする。
5、正しい金額を出すことができた場合は「すごいね!!」と褒める。
間違った金額をだした場合は、教員と一緒に確認しながら修正をする。
動きが止まってしまった場合は「1円の数字はなにかな?」とヒントを与える。
利用可能な好子
[HELP]
「できたね」等の言語賞賛
虫や妖怪などの写真カード
教材教具など
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(step1)
お金のカウンティングシート
1円玉(10枚)
10円玉(10枚)
100円玉(10枚)
お財布(3つ)
(step2)
お金のカウンティングシート
1円玉(10枚)
10円玉(10枚)
100円玉(10枚)
500円玉(1枚)
お財布(4つ)
記録の取り方
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1回の指導で5問行う。
正答率をパーセンテージで記録する。
(問題として出した金額も記録しておくようにする)
指導期間と達成基準
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(指導期間)
1、文字で提示された硬貨を財布から出す。
step1、1円・10円・100円を用いて
12月6日〜2月3日
step2、1円・10円・100円・500円を用いて
2月7日〜2月24日
(達成基準)
step1
80〜100%の正答率が20回連続した場合を達成とする。
step2
80〜100%の正答率が10回連続した場合を達成とする。
ただし500円以上の金額は、500円玉を用いて構成できた場合を正答とする。
結果
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(step1)
指導開始初日は、シートに記入した文字を読み間違えることがあり正答率は60%であった。しかし、それ以降は80〜100%の正答率が続き、1月28日(指導開始から21日目)に目標を達成した。
(step2)
指導開始初日、『500えん』という問題で500円玉を自ら出したが、置く場所が分からなかったようで、財布に戻し、100円玉で出し直すことがあった。本人が出し終えた後で、100円玉5枚でもいいが500円玉1枚出してもいいということ、500円玉は100円玉を出す場所に出すことを伝えた。次の問題で再度『521円』という500円台の問題を出すと、500円玉を用いて出すことが出来た。
指導開始2日目には『600えん』という問題で100円玉6枚で出したので、500円玉を用いて出す出し方を伝えた。すると3日目に『600えん』という問題を出すと、500円玉を用いて出すことができた。
その後100%水準が続き、2月24日(指導開始から12日目)に目標を達成した。
(般化)
校外学習で『147円』のジュースの支払いが課題と同様の財布を用いてできた。
考察
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今回の指導で、カウンティングシートと金額毎に小分けした財布を用いることで本人にとって「間違う不安」が減少したことが、達成に大きく関係したと考えられる。
また、本人の特性を考え、達成基準を20日(10日)と長くとったことで、提示された金額を出すことがスムーズになり、より自信を持って学習に取り組むことができたと思われる。
今後、カウンティングシートを用いず、お金を出すことができるようになることが課題である。金額を書いた袋にお金をパッキングする課題や、教員が音声で指示した金額を財布から出すことができるよう、練習を行っていきたい。
また、移動支援のサービスを受ける際、課題で用いている財布を持参し、本人が一人で購入する物の金額を支払う練習を行えるよう、保護者と話し合い、般化場面を広げていきたい。
参考にした先行研究や事例など
[HELP]
事例番号 200813
A:先行条件
B:行動
C:結果
文字カードあり
金種の混じった財布あり
提示されたお金を出す
お金を出しにくい(↓)
間違っているかもという不安(↓)
A:先行条件
B:行動
C:結果
文字カードあり
カウンティングシートあり
金種ごとの財布あり
提示されたお金を出す
お金をすぐ出せる(↑)
出す金額が明確(↑)
間違っているかもという不安(↓)
お金のカウンティングシート
FILE
191_188_5.ppt
春の講座ポスター
データとグラフ:第一系列のタイトル: 指導手続き1
Intervention1: 指導手続き1
データとグラフ:第二系列のタイトル: 指導手続き2
Intervention2: 指導手続き2
記入日時
2010/10/21/11:47:32
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