200808



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事例担当者のイニシャル[HELP]K.A I..M
事例研究のタイトル[HELP]スケジュールに沿って場所移動できるための支援
事例の概要[HELP] Fさんは、写真カードの2枚提示による、全日のスケジュールを利用している。トランジッションカードを受け取ると、スケジュールカードを取り、スケジュールボードの下部に設置している箱に入れ、次の行動に移るという手順で行っていた。しかし、スムーズに行動に移ることが難しく、クラスの友だちの様子を気にしたり、黒板に示してある時間割を気にしたりと周囲の環境が影響し、逸脱行動が多く見られる。
 そこで、スケジュールの利用手順をスケジュールカードを持って活動場所に移動する手順に変更した。Fさんにとって今までとは違う手順となるので、はじめはエラーレス指導を行い、利用手順の定着を図る。
対象児のプロフィール[HELP]小学部5年 女児 Fさん 知的障害
新版K式発達検査:2歳1ヶ月(2007.2.27実施) 
指導者の役割と人数[HELP]担任教員1名
長期目標[HELP]スケジュールに沿って、ひとりで場所移動することができる。
短期目標[HELP]「朝の会」・「帰りの会」のカードを持って活動場所に移動し、自主的に椅子に座ることができる。
標的行動(増やしたい行動)[HELP]朝の会と帰りの会が始まる前にスケジュールカードを持って移動し、ひとりで椅子にすわる。
標的行動(減らしたい行動)[HELP]朝の会と帰りの会のスケジュールを確認してから、他の友だちや黒板のところに行く。
標的行動を取り上げる意義[HELP]本児が好きな活動である朝の会の時間において、スケジュールの正しい使い方の習得をねらう。
事例に関する情報[HELP]・写真カードの2枚提示によるスケジュールを使用している。
・スケジュールカードを取り、スケジュールボードの下部に設置してある箱に入れ、次の行動に移るという手順で行っている。
・トランジッションカードを手渡すとトランジッションエリアに行き、スケジュールボードに貼ってある上の写真カードを取ることができるが、2枚とも取ったり、貼り替えたりするときがある。
・スケジュールを確認した後は、すぐに場所移動ができる時と、クラスの友だちが気になって様子を見ていたり、他のことに気が移ったりすることがある。
・黒板に貼ってある1日の活動スケジュールの写真カードを取り、「これは?」と教員に何度も聞き、椅子に座るようにことばかけをしてもなかなか座れない時がある。
・本児が日直の時は、前に出てあいさつをするため最初は椅子に座らない。
問題の推定原因[HELP]1,スケジュールカードをスケジュールボードの下部に設置している箱に入れて移動する手順は、本児にとってわかりにくい。
2,友だちの様子が気になる。
3,環境の刺激が多い。
4,ひとりで座っていることができる時間が短い。
5,教員にかまってもらいたい。
想定される解決策[HELP]1,スケジュールカードを持って、活動場所まで移動する手順に変更する。
2,友だちが、椅子に座り準備ができている状況を先に作る。
3,黒板などの環境を整理する。
4,座るとすぐに朝の会や帰りの会が始められるように環境を整える。
5,朝の会や帰りの会が始まる前に十分に教員と遊ぶ。
選択した原因と解決策[HELP](原因)
1,スケジュールカードをスケジュールボードの下部に設置している箱に入れて移動する手順は、本児にとってわかりにくい。

(解決策)
1,スケジュールカードを持って、活動場所まで移動する手順に変更する。
般化を狙う場面[HELP]音楽室や体育館への移動。
指導場面[HELP]朝の会と帰りの会が始まる前。
指導手続き[HELP]○環境設定
 トランジッションカードを入れるポケットを設置する。
 トランジッションエリアのスケジュールカードを入れていた箱を外す。

○課題分析
 1、トランジッションエリアに移動する。
 2、トランジッションカードをエリアのポケットに入れる。
 3、スケジュールカードの上側を取る。
 4、カードを持って自分の椅子まで移動する。
 5、カードを椅子のポケットに入れる。
 6、椅子に座る。

○手続き
 【指導開始より5日間】
 1教員1がトランジッションカードを手渡す。
 2本児がスケジュールボードに貼ってある朝の会の写真カードを取ったら、教員1が本児の後方か  ら身体的ガイダンスを行い椅子に設置してある箱に写真カードを入れ着席できるようにする。
 【指導開始6日目以降】
 1写真カードを持って別の場所に行こうとした場合は、身体的ガイダンスを行う。
利用可能な好子[HELP]誉めことば 拍手 教員との遊び 給食の献立
教材教具など[HELP]スケジュール トランジッションカード カードを入れるポケット
記録の取り方[HELP]課題分析に従い、各項目ごとに必要であった身体的ガイダンスの程度を記録する。

 a全面的に必要であった。
 b部分的に必要であった。
 c必要なかった。
指導期間と達成基準[HELP]達成基準
 プロンプトなしでできた日が3日間連続すれば達成とする。
結果[HELP] Step1では項目1,2で指導前と同じ手順だったので一人で行動することができた。それ以降の行動においてエラーレス指導を5日間行ったが、4日目より指さしやことばかけのみで手順に従って椅子に座ることができた。
 Step2の朝の会が始まる前においては、3上側のスケジュールカードを取るという項目で、下側に貼ってあるスケジュールカードが気になり、上側のカードを取った後で下側のカードも取ってしまうこともあった。帰りの会は、スケジュールの最後になるのでそのような行動はなかった。
 また、当番の日には、椅子に座らずに前に立つ習慣がついていたので、6椅子に座る、という項目で指さしやことばかけ程度のフォローが必要であった。その他の日で、椅子に座れた時にほめことばや拍手で賞賛することによって行動の定着を図り、12月18日達成した。さらに、翌日の19日に当番であったが、椅子に座ることができた。
考察[HELP] 以前は、次の行動のスケジュールカードを確認した後もすぐにすぐにその行動に移れず、逸脱行動が多く見られたFさんであったが、この実践に取り組んでからは、「朝の会」「帰りの会」だけでなく、他の活動においてもスムーズに場所移動することができるようになってきた。教室内の活動においては、他の友だちが用意できていなくても少しの時間であれば座って待つことができるようになった。
 今後は他の活動においても、一人で教室を移動し決められた場所に座ることができるように課題分析に沿った一連の活動の定着を図っていきたい。

A:先行条件 B:行動 C:結果
トランジッションカードを渡した後
「朝の会」・「帰りの会」が始まる前
椅子に座る 「朝の会」・「帰りの会」がすぐに始まる(↑)
教員にほめてもらえる(↑)


朝の会が始まる前の各項目におけるプロンプトの状況

帰りの会が始まる前の各項目におけるプロンプトの状況
記入日時 2008/11/07/18:13:00

現行ログ/ [1]
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